行政書士

行政書士登録後も勉強は続く!試験合格後に学ぶこと

行政書士の試験科目は、大きく二つに分けられます。まず「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題)、そして、「行政書士の業務に関連する一般知識等」(出題数14題)です。

「行政書士の業務に関し必要な法令等」とは、憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法)、民法、商法及び基礎法学です。

一方で、登録後の行政書士の業務とは、これも大きく二つに分けられます。まず「官公署に提出する書類の作成とその代理・相談業務」です。官公署とは、都道府県庁や、市役所・区役所・町役場・村役場、警察署、出入国在留管理局などです。行政書士は、これら官公署に提出する書類の作成・提出を業務とします。

ご存知のように「行政法」という法律はなく、多くの行政に関する法律の総称でしかありません。例えば、国際業務(外国の方の在留資格手続きをはじめ入管に対する申請など)に興味を持っている方は、いわゆる「入管法」の知識習得は確実にしたいところです。しかし、行政書士の試験科目に、「このとき、外国人Aが取得できる可能性のある在留資格は次のうちどれか」のようにピンポイントでは入ってきません。
けっきょくは、行政書士登録後に、実務をやりながら反復して触れて行くしか道はないのです。それは、他の分野でも同じです。建設業・古物商・運送業・風営関連の許認可手続きという王道を行こうと思っても、行政書士試験合格のための勉強では触れる機会のなかった法律に目を通す必要が必ず出てきます。もっとも、基礎法学、憲法、行政法一般の知識は、これら各法律を読み解く上で非常に役立ちます。

そして、もう一つは「権利義務に関する書類の作成とその代理・相談業務」です。権利義務に関する書類とは、例えば、契約書・念書や(遺産分割)協議書、請願書、上申書、定款等などを指します。行政書士は、これらの書類の作成や相談を業務とします。

確かに、契約書などの書類を作成するときには、行政書士試験対策で学んだ知識は非常に有用です。憲法は、全ての法律の基礎となるものであり、法律を扱う以上、とても大切なものですし、民法は、契約書作成の根拠として必須です。契約書作成の際には、いわゆる「ひな形」からスタートすることがありますが、なぜ、このような構成になっているのか、その根拠を知識と結びつけられなければ、いつまでも「ひな形」のまま、実社会に沿った内容にはカスタマイズできないでしょう。
民法の大改正があったように、法律は日々変わっていきます。行政書士も遅れず知識をアップデートしなければなりません。ときに特殊な契約書の場合、民法以外の法律にアクセスしなければ作成が困難なこともあるかもしれません。

法律の知識はもちろん、実務にはいつになっても新しい学びがあります。依頼者の方ごとに臨機応変の対応が求められることがあるのは、この社会が必ずしも画一的とは限らないからです。依頼者にはそれぞれの困り事があり、行政書士に相談をしてきます。
特に相続・遺言に関する業務では、一つとして同じものはないと言っても過言ではありません。基本となる民法の知識のみならず、お墓の知識が必要になるケースもあります。さらには、法律外の知識を要求されることもあります。
依頼者からの相談を通して、まだまだ自分は未熟であると気付かされ、本屋に通い書籍を手に取り、大事なところにマーカーを引いたり、別のノートにまとめたり・・・まさに受験生の頃の自分に何度も戻ることがあるでしょう。行政書士の資格を中核に、更に多くの知識を獲得し続ける、そんな成長がある仕事だからこそ、魅力的であると思います。

  • この記事を書いた人

カオル☆

当ブログを運営する「カオル☆」と申します! 法律家になることが夢で、司法試験に挑戦していましたが、断念しました。 一念発起して行政書士試験にチャレンジした結果、無事に行政書士試験に合格することができました。 現在は、行政書士事務所にて日々実務をこなしています。

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