行政書士試験は、法律の試験です。法律試験で最も難しい試験といえば司法試験です。司法試験受験生は必ず六法を使用しますが、同じ法律試験として行政書士試験に六法は必要でしょうか?
この記事では、行政書士試験勉強で六法を使用するのかについて考えたいと思います。
行政書士試験科目
まずは、行政書士試験がなぜ法律系資格と言われるのか。まずは、試験科目を見てみましょう。試験科目は、法令科目と一般知識に分かれます。
①行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46題)
- 憲法
- 行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)
- 民法
- 商法
- 基礎法学
②行政書士の業務に関連する一般知識等(出題数14題)
- 政治・経済・社会
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
これらの科目を見ると、憲法や法律を中心とした試験であり、法律の知識を問う試験であると言えます。
六法とは
一般的に言われる「六法」とは、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法のことをいいます。
6つの法律を中心として他の法令を収録した書籍を「六法全書」と呼びます。さらに六法全書を略して「六法」と呼んだりします。
また、六法は、関連法令をまとめるという意味でも使われています。行政書士六法という書籍もあるのは、こういった法令をまとめるという意味で使われています。
行政書士試験には必要ない
結論から言いますと、行政書士試験に六法は必要ありません。テキストに記載された条文の内容を覚え、試験で回答することが求められます。
司法試験の論文試験では司法試験用の六法が配られ、試験中に閲覧が可能となっています。そのため、司法試験生は六法を引く訓練をします。一方、行政書士試験は、司法試験と違い、試験中に六法を使用することはありません。そのため、試験に出る条文は覚えておく必要があります。条文を覚えるといっても一言一句覚えるというより、大切な用語の意味、条文で伝えようとしていることを覚えることになります。
条文で伝えようとしていることを理解しておけば、応用問題が出た際も、大きく外すことがなくなります。択一で選択肢を絞ることができ、正答率をあげることができます。
なお、司法試験の短答式試験では、六法の閲覧はできません。
六法は実務で使うか
行政書士の業務を大きく2つに分けると、役所へ申請する許認可業務、相続関連の市民法務に分けることができます。
許認可業務については、一般的な六法(ポケット六法等)はほぼ使用しません。許認可業務を行う際の前提知識として大事なのは行政手続法くらいです。
一方市民法務については、民法の契約や親族・相続の知識が必要となります。
また、会社設立手続きを業務にする場合は、会社法の知識も必要です。必要な時に条文を引けるといいでしょう。
しかし、実務上は、司法試験科目の六法ではなく、実務六法や実務法令集というものが販売されています。実務ではこれらの実務六法・法令集を使用します。
今後司法試験に挑戦したい方や大学の法学部で学びたい方などは、六法を使用できるようにしておいたほうがいいでしょう。